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封じ済み少額減価償却資産等から貸付用資産を除外(令和4年度改正)

ドローン・足場・LEDの節税はなぜ封じられたか。令和4年度改正で少額減価償却資産から「貸付用」が除外された

1機10万円未満のドローンや1本単位の足場を大量に買って全額損金にし、業者に貸してレンタル料を受け取る手法は、2022年4月1日以後の取得から少額減価償却資産・一括償却資産・30万円未満特例の対象外になった。主要な事業としての貸付だけが残った。

改正の要点
改正・通達少額減価償却資産等から貸付用資産を除外(令和4年度改正)
根拠法人税法施行令133条・133条の2、租税特別措置法67条の5。解釈は法人税基本通達7-1-11の2・7-1-11の3
適用2022年(令和4年)4月1日以後に取得等をする資産
現在の状態封じ済み

「ドローン節税」「足場節税」と呼ばれた手法は、2021年12月10日の令和4年度税制改正大綱で封じ込めが決まり、2022年4月1日以後に取得する資産から使えなくなった。税務通信は改正の理由を、いわゆるドローン節税で多用されていることを踏まえたものだと書いている。商材の名前が改正理由に事実上書かれた、珍しい例である。

封じられる前の仕組み

土台になったのは三つの制度だ。取得価額10万円未満の資産は購入した年度に全額損金にできる(少額減価償却資産)。20万円未満なら3年で均等償却できる(一括償却資産)。中小企業なら30万円未満まで年300万円を上限に全額損金にできる(租税特別措置法67条の5の特例)。どれも、事務負担を減らすための制度である。

商材はこの単価の壁を逆手に取った。ドローンは1機9万9,000円で売る。足場は1本単位で10万円未満だから、総額が数百万円になっても全額が購入年度の損金になる。LEDの照明器具も同じ理屈で売られた。買った法人はそれを自分で使わず、販売業者に貸す。業者はドローンをスクールや測量に、足場を建設現場に使い、法人にレンタル料を払う。数年後に業者が買い取って終わる。

法人から見れば、初年度に全額損金、翌年からレンタル料収入、最後に買取代金。利益が出た期の課税を先送りしながら、資産をほぼ元の価格で戻してもらえる。業者から見れば、機材の調達資金を「節税したい法人」から集められる。金融機関を通さない資金調達の器として機能していた。

何がどう変わったか

令和4年度改正で、法人税法施行令133条(10万円未満)、133条の2(20万円未満)、租税特別措置法67条の5(30万円未満)のいずれからも、「貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したもの」が除外された。貸すために買った資産は、単価が小さくても通常の減価償却をしなければならない。

適用は2022年4月1日以後の取得等から。国税庁は同年6月に法人税基本通達7-1-11の2と7-1-11の3を新設し、「一時的な貸付は該当しない」ことと、「主要な事業として行われる貸付け」の例を示した。

なぜ封じられたか

会計検査院の指摘は確認できていない。税制改正大綱の「節税スキーム対策」として盛り込まれ、12月の大綱から翌4月の適用まで4か月で動いた。以後、大綱経由の封じ込めはすべてこの4か月周期で進んでいる。

問題視されたのは「自分で使わない資産を、損金のためだけに小口で大量に買う」構造だった。少額減価償却資産の制度は、事務負担の軽減が目的である。1機9万9,000円のドローンを100機買う法人に、事務負担の軽減は関係ない。

改正後に残ったもの

除外されるのは貸付用の資産だが、「主要な事業として行われる貸付け」は除外されない。通達7-1-11の3は、企業グループの管理会社がグループ内の法人へ貸す場合、下請業者へ製造用の資産を貸す場合、小売業者が駐車場スペースを貸す場合、不動産賃貸業者が賃借人へ家具などを貸す場合を例示している。本業としてレンタル業を営む会社は、従来どおり少額資産の特例を使える。

また、一時的な貸付は「貸付けの用に供した」に当たらない(7-1-11の2)。

令和8年度改正で少額特例の上限は30万円未満から40万円未満へ広がるが、貸付除外はそのまま維持される。制度は拡充しても、抜け道は閉じたままにする、という判断である。

その後、買った人に何が起きたか

改正は2022年4月1日以後の取得に適用されたので、それ以前に買った資産の損金が否認されたわけではない。ただし業者側の事業は続かなかった。ドローン販売で最大手だったドローンネットは、改正後にマイニングマシンの販売へ商材を乗り換え、2025年6月に東京国税局から約30億円の所得隠しを指摘され、同年12月に負債約1,445億円で破産した。経緯はマイニングマシンの記事で詳しく扱う。

購入した法人がその後に追徴を受けたかどうかは、公的資料では確認できていない。業者サイトには「否認・追徴に直面した」という記述があるが、一次資料はない。

組成側の視点

ドローンや足場の商材は、器が匿名組合ではなく「現物の売買+レンタル契約」だったので、金融商品取引法の登録が要らなかった。だから参入業者が増えた。しかし現物は、業者が倒れたときに「どこに何機あるか」が問題になる。1機9万9,000円のドローンを1万機売ったとして、それを誰がどこで数えているのか。管理の実態が薄い商材は、封じられる前に業者の側が崩れる。

次に封じられる商材を読む物差し

この改正で当局が使った型は「貸付用の除外」である。買った資産を自分で使わず、業者に預けて利回りだけ受け取る構造は、その後の改正でも「管理委託型の除外」として繰り返し使われた。今売られている商材で、買った現物を自分で使わないものは、同じ型で封じられる候補に入っている。

出典
  1. 辻・本郷税理士法人 令和4年度改正 少額減価償却資産の見直し
  2. 税務通信 少額減価償却資産からの貸付用資産の除外
  3. 国税庁 法人税基本通達 第7章第1節第2款(7-1-11の2、7-1-11の3)
  4. 財務省 令和8年度税制改正の大綱(少額特例の見直し)
  5. 東京商工リサーチ ドローンネット破産の続報
関連する語: ドローン 節税 封じ/足場 節税 改正/足場レンタル 節税/LED 節税 少額減価償却/令和4年度税制改正 少額減価償却資産 貸付/法人税法施行令133条 貸付/主要な事業として行われる貸付け/ドローンネット
本記事は制度と商品の仕組みを一般的に解説するもので、特定の商品の購入を勧誘するものではありません。即時償却は課税の繰延べであり、税額が必ず減るものではありません。個別の税務判断は税理士にご相談ください。